他人事ではない「水原一平騒動」に経営者が学ぶ事 問題点はチーム大谷のガバナンス欠落にある

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「大手に任せておけば安心だ」――。中身を見ずに外見だけで業者選択をする経営者の方は多いのではないでしょうか。

しかし、大手だからといって常に最高のサービスを提供できるわけではありません。看板だけではなく中身を精査することができれば、今回の悲劇は防げた可能性もあったのかもしれません。

もう1つ、今回の不正を見抜けなかった問題点として、弁護士や会計士の存在もあります。

弁護士は、常にクライアントの利益を優先する必要があります。本来であれば、大谷選手の会計担当者やファイナンシャルアドバイザーは、クライアントである大谷選手によって直接雇用され、大谷選手の利益を優先して仕事をする必要があります。

会計担当は大谷選手と一度会っただけ

ところが訴状によると、彼らを雇用していたのは代理人であるCAAスポーツだったことがわかりました。

訴状によると、会計担当者は大谷選手とは最初の顔合わせで一度会っただけでした。後日、税務申告について大谷選手と話すために会いに行ったところ、水原氏が対応し、大谷選手は病気で給与口座のことは本人がプライベートにしたい、そして税務申告上の問題もないと回答し、この会計担当者は引き下がったとのことです。

会計担当者は、本来であればクライアントであるはずの大谷選手の利益を優先すべきところが、直接的な雇用主である代理人の顔色を窺っていたのかもしれません。

ことを荒立てないで自分の雇用維持を優先したような状況があったのかも含め、利益相反の観点で厳しく検証される必要があると思います。

私のクライアントである大谷選手に会わせてほしい。あなたは私のクライアントの通訳であって、私のクライアントではない! そんなふうにNO!と言えるプロフェッショナルがいれば、状況は変わっていたかもしれません。

残念ながら法律の世界でも、日本の弁護士がクライアントから海外の案件を受託後、海外の法律事務所に実務的な仕事を丸投げし、仲介料を稼ぐような案件も見受けられます。

クライアントとプロフェッショナルが直接契約をしていない仲介のような業態は、倫理的なリスクと問題を抱えている可能性があります。

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