これは糖尿病によって動脈硬化が進み、血管性認知症にかかりやすくなるだけでなく、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの排出も阻害されることで、アルツハイマー病にもかかりやすくなるためだ。
また、いったん認知症になってからも高血糖状態が続くと、認知症が早く進行するおそれがある。治療の副作用により重度の低血糖になっても認知症のリスクが高まるため、適度な血糖コントロールが肝要だ。
「よく言われていることですが、普段からバランスのよい食事を心がける、しっかり睡眠をとる、規則正しい生活を送る、毎日30分程度の運動を続ける、などが大切です。つまり“健康にいいとされている生活を送る”ということにつきます」(岩田さん)
生活習慣病との関連ほど強くはないものの、趣味を持つ、多くの人に会って話をする、脳トレで頭を使うといったことも、認知症のリスクを下げることにつながるそうだ。
一方、テレビやウェブなどで宣伝している、イチョウ葉エキス、オメガ3脂肪酸、ビタミンEやセレンなどの「記憶力をよくする」という触れ込みのサプリメント類は、「認知症を防ぐという効果は証明されていないので、摂る必要はありません」と岩田さん。
「病的なもの忘れ」の特徴
そもそも、病的なもの忘れと、そうではないもの忘れはどう違うのか。岩田さんは次のように解説する。
例えば、たまにしか見ないタレントの名前などの固有名詞が出てこないのは、問題となるようなもの忘れではない。一方、バナナなどの一般名詞や、親しい人の名前が出てこない場合は少し問題とのこと。
また、お酒を飲んでいて同じ話を何度もするのはよくあるが、そうではないときに同じ話を繰り返すとなると心配したほうがいいようだ。
ほかにも、予定や約束をど忘れてしまうことは誰にでもある。しかし、予定や約束があったこと自体を忘れていたり、指摘されても思い出せないなら問題だ。
さらに、その年に起きた大きな事件や事故についてうろ覚えなのは普通だが、今年でいえば、能登半島の地震のことをまったく知らないとしたらおかしいということになる。
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