2011年夏ベスト経済書2位・『国家対巨大銀行 金融の肥大化による新たな危機』を書いたサイモン・ジョンソン氏に聞く--回転ドア人事が生む金融と政治の癒着

2011年夏ベスト経済書2位・『国家対巨大銀行 金融の肥大化による新たな危機』を書いたサイモン・ジョンソン氏に聞く--回転ドア人事が生む金融と政治の癒着

2009年3月、ウォール街の巨大銀行は単なる利益団体を超えた影響力を米政府に行使した。「金融寡頭制」の問題を指摘するサイモン・ジョンソン教授に聞いた。

--財務省とウォール街間の人材の行き来の問題を指摘しています。

回転ドア人事は財務省に限った話ではない。ほとんどの政府機関についていえる。結果として政府高官に共有されたのは「大銀行は自らを律することができる。不具合は、コントロールできない自然の力が引き起こした。強欲や過剰なリスクテイクの結果ではない」という考え方だ。
 
--今回の深刻な金融危機の後でも、そのような考え方は政策立案者の間に浸透したままだとお考えですか。

私はそうとらえている。しかし、ものの見方は一枚岩ではない。連邦預金保険公社(FDIC)はこれまでウォール街を規制する立場にはなく、主に小規模銀行を監督してきた。それが今では、混乱を収拾する権限を持つようになった。FDICの会合ではシステムが内包するリスクを懸念する声があがっている。一方、規制当局者の中には無頓着な人もいる。

--ほかの国々で金融危機が起こった際、米政府高官たちはさまざまな施策を提案しましたが、自国の危機では実行しませんでした。

1990年代の後半にアジアで金融危機が起こった際、金融システムの変革を強く迫った当人たちは、米国が同様の危機に見舞われた際には同様の処置を取らなかった。銀行の経営陣を解任して新たな経営陣を任命することや、取締役会を改編する、破綻した銀行を廃業させるなどの処置だ。自国では、ウォール街との折衝が必要だからだ。

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