キー局決算で見えた「TVerによる驚きの配信収入」 50億円規模の事業が3割も4割も伸びている
TVerはテレビ業界の希望の星
実は前の決算ではテレビ朝日の配信広告の数字はわからなかった。大きくインターネット事業と括った数字しか示してなかったのだ。それが今年は配信広告を抜き出していた。それも含めて、各局ものすごい勢いで伸びている。今時、50億円規模の事業が3割も4割も伸びているなんて滅多にないだろう。TVerはテレビ業界の希望の星だ。
そこで、取らぬ狸の皮算用の試算をしてみよう。今後、放送収入が同じ比率で減少し、配信収入が同じ率で伸びたとしたらどうなるのか。
ただ、テレビ東京の配信広告収入がわからない。残りの4局の放送収入に対する配信収入の比率は4.2%だった。テレビ東京の放送収入の4.2%は28億円。強引な推測値に過ぎないが、これを使って試算を進めてみる。
そうするとキー局5局の配信広告収入は317億円になる。またテレビ東京以外の4局の伸び率の平均は42.5%だった。これも試算に使う。
2023年度の5局の放送収入合計額は7623億円。配信広告収入317億円と合わせると7940億円。これが放送収入は毎年マイナス4.7%、配信広告収入は毎年プラス42.5%として今後の推移を強引にグラフ化してみた。
合計7940億円は2026年度まで7515億円に下がっていく。それが2027年度以降反転し、2029年度には8365億円と元の金額を超える。2030年度には9225億円にまで増える。強引な推測では、頑張って耐え抜けば配信広告収入の増加により全体も増えるのだ。
毎年同じ比率で推移するのはありえないので、このままにはならない。だが大まかな流れとしてはありうる試算だと思う。
とにかく、配信広告収入を高めるべく頑張れば、長期的回復は起こりうると私は考える。ただし、そこにはいくつかの課題がある。
まずTVerだ。今は本当に絶好調で、きっとここまで各社内で「配信なんて儲かるのか」などと言われながらも耐え忍んできたであろう関係者の努力が実った形だ。節目ごとに聞こえてくるのは、大幅に再生数やUB数が伸びたニュースばかりだ。個別の番組も、各分野で新記録を続々樹立している。すっかりエンタメ配信アプリとしてのポジションが確立した。
だが、いつのまにか「ドラマ配信アプリ」になってしまった。バラエティは再生が伸びるものが限られている。これではいつか行き詰まりかねない。
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