
父の膵臓に見つかったステージ4のがん
家族4人の沖縄旅行から戻った13日後、稲本秀俊さんは53年の生涯に幕を閉じた。
「最後に旅行に行けて、本当に良かった。決して長くない人生だったけど、父は幸せだったと思います」
現在、夫の仕事の関係でアメリカ・ロサンゼルスに暮らす稲本愛里さんはそう言って微笑んだ。
2019年の冬。愛里さんの父、当時49歳の稲本秀俊さんにがんが見つかった。みぞおちに強い痛みを覚え、救急を受診したのだが、後日、精密検査で膵臓がんであることが発覚した。ステージ4の状態だった。
膵臓は「沈黙の臓器」と言われる。異常があっても、自覚しにくい。症状が現れたときには、すでに進行している場合が少なくない。秀俊さんも、まさにそのケースだった。
家庭での秀俊さんは、明るく活動的な父親だった。
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