中年になっても物覚えがいい人になるための秘策 学んだことを記憶に定着させるための脳の使い方

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海馬はとにかく受け身姿勢。とても刺激的なことやインパクトが強いことには、強いファイアリングを起こし、勝手に契約を結ぼうとします。学んだことを効率よく長期記憶に入れたいのなら、海馬ちゃんにとにかく熱意と誠意を見せることが重要です。

あなたが今熱中していること、時間を割いていること、決まった時間にやっていることを海馬ちゃんは重要だと判断し、長期記憶を契約を結ぶ。

(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

(イラスト:うのき)

中年になると海馬に刺激を与えられなくなる理由

年を取ると、多くの物事を見聞きしているため、慣れが生じ、全部同じように見えてくるので、刺激的だと感じることが少なくなりますよね。このため、年を取れば取るほど海馬はファイアリングしにくくなります。

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海馬がファイアリングするためには、理解系がしっかり働いて、「この刺激は昔の刺激とここが違って面白い」と違いを説明することが重要です。

また、記憶系脳番地は8つの脳番地の中でもっとも低酸素に弱い性質があります。ぼーっとしがちなときは、海馬が低酸素に陥っている可能性が大。いったん自分がやっていることから離れて、海馬を休ませてあげましょう。

左脳の海馬は言語系、右脳の海馬は非言語の映像系の役割を主に担っているので、参考書で勉強しているなら、言語系(参考書を読む)から映像系(YouTubeを使って勉強)に切り替えてあげると、左脳の海馬を休ませてあげられることになります。

自分の状態を把握して、海馬ちゃんのパフォーマンスが下がらないようにしてあげることが重要です。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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