実は、こうしたカフェ×公園の事例は、全国に増えている。
本来は公的なセクターが運営するはずの公園に民間事業者のカフェが入り込むことができたのは、2017年からPark-PFI(P-PFI)事業が導入されたためだ。
この制度によって、公園は民間事業者を公募で集めることができるようになった。そして、公園内に、一般人が魅力に感じるような施設を導入し、本来の公園が果たすべき、「なんとなく、だらだらといられる空間」を作ることに成功している。
東洋経済オンラインの記事ー池袋や渋谷の「公園」で起きている画期的な変化 「南池袋公園」「ミヤシタパーク」はなぜ凄いのかーにて、国際文化都市整備機構(FIACS)理事の松岡一久が指摘している通り、P-PFI事業以前の公園は、公共財として最低ラインの維持と管理を行うというスタンスだった。
つまり、公園としてあるべき「公共的」な姿を作るというよりも、ただ、広いスペースが「あるだけ」の状態になっていた。そのため、「公園」といっても、ダラダラする場所としての候補には上がりづらく、そもそも暇つぶしに公園に行く、という手段自体が、そこまで大きな選択肢として認識されてこなかった。とくに昨今の、「危ない」という理由で遊具が撤去されがちな公園では(せいぜい、昼間、行き場所がないサラリーマンが、ハトにエサを与えるときのイメージとして思い浮かぶぐらい?)。
しかし、カフェが誕生することで、公園という空間が逆に「せんだら」としての機能を持ち、その空間が利活用できるようになったのである。
公園カフェがもたらした負の側面は?
このように、P-PFIはそれまであまり活用されてこなかった公園に活気を取り戻す起爆剤になった。
一方でこの制度は、「居場所作り」として捉えたときに、プラスの側面だけを持っているわけではないことも指摘しておこう。それは、南池袋公園しかり、MIYASHITA PARKしかり、ホームレスの排除問題と密接な関係を持っているということだ。
南池袋公園にしても、MIYASHITA PARKの前身である宮下公園にしても、そこにはホームレスの人々が多くいた。2002年に施行された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(ホームレス自立支援法)」には、公園を適正に利用できるように行政が働きかける条項が含まれており、そのあたりから、都内の公園で、行政とホームレスが接触する機会が増えてきた。
そうした流れの中で、徐々にこうした公園が再開発されていき、MIYASHITA PARKの開業当初は、ホームレスの強制排除が大きな話題にもなった。
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