そんな池袋が、ある段階からとてもきれいになりはじめた。いわゆる再開発だ。東池袋の豊島区役所周辺や、西池袋の芸術劇場前の広場も、びっくりするぐらいにきれいになった。豊島区が「消滅可能性都市」のリストに載ったこともあり、行政として焦りがあったのだろう。こうした再開発が功を奏し、今では住みたい街ランキングの上位の常連にもなっている。
さて、そんな再開発の中で、とりわけ成功したと言われているのが「南池袋公園」だ。
かつての南池袋公園は、うっそうとした木々に覆われていて、ホームレスのダンボールハウスが立ち並ぶ場所だった。転機が訪れたのは2007年。東京電力が公園の地下に変電設備を建設したいという意向を示し、公園一帯の再開発が行われた。
それから約9年、2016年にリニューアルした南池袋公園は見違える姿になっていた。華々しくリニューアルしたこの公園は、都市再開発の代表的な事例としてメディアなどでも多く取り上げられるほどになったのだ。
カフェ×公園の相乗効果
実際、南池袋公園はどのようになったのか。
このリニューアルの要点の一つが、池袋で人気のカフェ「ラシーヌ」をその中に誘致できたということ。実際、休日などに南池袋公園を訪れると、公園部分も人でいっぱいだが、カフェにも人が多くいる。テラス席も用意されていて、そこもほとんど満席だ。
南池袋公園は、公園の中心に大きく芝生が広がっており、その周辺に子供が遊べる遊具や、テラス席などがある。これらは、直接カフェの売り場ではないのだが、やはりラシーヌのカップを持った人も多くいる。公園に来て、なんとなく話していると、ちょっと口が寂しくなってくる。ちょっとコーヒーやラテでも飲めないか、というところにちょうどよくカフェがあるというわけだ。
逆もまた然り。最初はカフェ目当てで行ったが、カフェのテラス席から芝生でくつろぐ人々を見ていると、なんだか気持ちよさそうに見える。だから、そのまま芝生でごろごろしてみる……そんなことも起こってくる。
南池袋公園を見ていると、カフェと公園という2つの要素がうまく絡み合いながら、まさにWin-Winの関係を作り上げているようにも思えてくる。「カフェ」が1000円以内でだらだらとできる「せんだら」だとすれば、公園もまさに「せんだら」(というより、公園だけの利用なら無料だ)で、この「せんだら」同士の相互作用が、南池袋公園で起こっているようなのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら