Apple「動画が大炎上→謝罪」日本で盛大に燃えた訳 なぜ日本だけ…? 紐解いて見えた5つの要因
ひとまずの「謝罪」を受けて、沈静化しそうな今回の事案だが、なぜここまで炎上したのか。すでにネット上には、さまざまな「分析」が拡散されている。そこへ「炎上ウォッチャー」である筆者の考察を掛け合わせると、大きく5つの要因があるように感じる。
(要因2)相次ぐ値上げへの反発
(要因3)比較広告の受け入れられにくさ
(要因4)「らしさ」という幻影の弊害
(要因5)そもそも意図がわからない
ひとつずつ見ていこう。
まずは「ものを大切にする価値観」。とくに日本においては、一度買った道具は、修理を繰り返してでも、長く愛用しようとする考え方が根強い。国民性でもある「もったいない」精神は、ノーベル平和賞受賞者の故ワンガリ・マータイ氏によって「MOTTAINAI」として輸出されるほどで、裏を返すと、海外には珍しい価値観なのだろう。
また、あらゆるものに「神」が宿るとの考え方もある。プロモーションビデオでは、人形が破壊されるシーンもあったが、日本では「人形供養」も珍しくない。おたき上げすることで、長年ともにしたものへの感謝を伝え、気持ちを整理する。今回の「破壊」はそうした過程を経ず、敬意に欠けているように見えたのではないか。
続く要因が「相次ぐ値上げへの反発」だ。今回発表されたiPad Proは、一番スペックの高い仕様にすると42万円。およそ従来の「タブレットに使う金額」からは、かけ離れているように感じる。加えて日本では、円安ドル高が急激に進んだことにより、あらゆる物価が高騰している。それを加味した、Apple製品の国内価格もまた、それなりに上昇していることから、潜在的にたまっていた日本ユーザーのストレスが、一気に爆発してしまったのではないか。
日本では馴染まない「なにかと比較する広告」
3つめの要因は「比較広告の受け入れられにくさ」だ。今回の映像は、楽器や家電と、新型iPad Proを比較することで、オールインワンのツールだということをアピールしたかったのだと思われる。しかし、そもそも「なにかと比較する広告」自体が、あまり日本では馴染まない。
日米間のギャップが浮かび上がった直近の例として、2023年11月の外資系ホテル「ヒルトン(Hilton)」によるウェブCMの炎上騒動がある。
早口で館内説明をまくし立てる旅館の従業員を映した後に、ヒルトンの高級ホテル「コンラッド(CONRAD)」へ場所を移し、時間にとらわれない宿泊を楽しめるとの対比を示したものだったが、SNS上などでは批判が相次ぎ、動画は非公開となった。(「ヒルトンの『旅館見下し動画』大炎上も当然の理由」)
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