また、子どものタイプによっては公立が向いている子もいれば、私立が向いている子もいます。さらに高校進学後に伸びる子、社会に出てから自分らしさが発揮できる子もいます。いずれにせよ、学力というたった一つの尺度で多感な時期の子どもたちの優劣を測ることは適切であるとは思えません。子どもたちにはそれぞれ多様な価値があり、それを基軸に育てていくことが教育の本質であると考えています。この点を前提としてこれからのお話をしていきます。
《公立トップ校に合格する子の親の6つの特徴》
それでは、ここから質問の回答になります。特徴を詳細に見ていけば例外はもちろんありますが、全体としてまとめると次の6つの傾向に収束します。
親の「勉強しなさい」はモチベーションが下がる
これは最大の特徴です。公立トップ校に合格する子は「勉強しなさい」と言われた記憶がほとんどありません。このお話をすると、必ずと言っていいほど次の疑問が出てきます。
「勉強しなさいと言わなくてももともとやる子だったから、言わなくて済んだだけでは?」
もちろん、その可能性もあります。生来、自ら目標を作ってそれに向けて邁進する子は実際にいます。どこでそのようなメソッドを学んだのか知りませんが、筆者もそのような子に何人も会ってきました。
一方で親から「勉強しなさい」と言われ続けて勉強が嫌いになり、やる気を失った子は数知れません。そのような場合、「2週間、勉強についていっさい触れないようにしてください」とアドバイスすると、子どもが自ら勉強し出したケースが多々あるのです。ということは、親の「勉強しなさい」の一言が子どものモチベーションを下げていたということになります。したがって、「親が勉強しなさいと言えば言うほど、子どもは勉強しなくなる」ということが推測されます。
長所伸展が大切と言われて久しいですが、現実は、長所を伸ばすよりも短所をいかに是正させるかに焦点を当ててしまうことが少なくありません。なぜ、短所是正からではなく、長所を先に伸ばすことが望ましいかといえば、次のような背景があるからです。
「長所をさらに伸ばすことで、子ども側に気持ちのゆとりができ、その結果、自覚している短所を“後から自己修正”していく」
さらに公立トップ校に合格した子の親御さんとお話ししていると、「子どもが興味を持ったことを応援するスタンスでいた」と聞きます。もちろん、学びにつながることを子どもに提案したり、体験させたりすることもやっていますが、基本的に子どもの興味関心を大切にしていたようです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら