「パパ活不倫で辞職」宮澤元議員が許された"なぜ" 「記憶にございます」回答で好感度も上がった?

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宮澤氏は一連の報道に対し、すべてを認め、さらには釈明で延命を図るのではなく議員辞職という選択をしました。また、報道が出たと同時に議員辞職まで一気呵成な展開として、あれよあれよという間に進みました。

行った行為が犯罪ではなくとも不道徳かつハレンチ、何よりいい歳をした国会議員・元副大臣という立場を考えればダメダメなのは言をまちません。しかしその謝罪姿勢を見て、さらけ出された内情を知るにつれ、似たような年代、かつ煩悩だらけの人生、愚かな失敗をさんざんしてきた筆者は、本音を言えば、同情を感じてしまったのでした。

宮澤博行
キャッチフレーズにも表れる、実直な姿勢(画像:宮澤博行氏の公式HPより)

実際、インターネットやSNS上でも宮澤氏について「潔く認めた姿勢はいい」「嫌いになれない」といった意見が多く見られます。この結果は、行為の是非はさておき、宮澤氏の対応には効果があったと言えるのではないでしょうか。

「そんなに叩かなくても……」と人に感じさせられるかどうかは、謝罪のテクニックに左右されます。逆に、どれだけ本当のことを話していたとしても、こうした納得感を与えられない謝罪は謝罪としては成立していない、少なくともBCPは成り立っていないのです。

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

さまざまな醜聞や不適切行為が批判を浴び、4月28日に投開票された衆議院の補欠選挙で“全敗”してしまった自民党。その中でも宮澤氏は、自身のダメさ加減をさらけ出した全面謝罪によって、今後浮かび上がれる可能性を残せたのではないかと思います。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」とは、溺れてもじたばたせずに身を任せれば体が浮いて命が助かるという意味とのこと。まさに宮澤氏はすごい身の捨て方を実践したのです。

会見ではちょっと情けない感じを醸し出していた宮澤氏ですが、地方の公立高校から東大法学部を経て、就活氷河期に苦労して市議から代議士になった叩き上げの議員です。その経歴も相まって、世論の共感と同情を引き込みました。

これらをすべて計算して実行していたとしたら……。私もすでにその術中にはまっているわけですが、その判断力と実行力は危機管理の視点からもパーフェクトでした。なかなか真似できることではありませんし、何より批判される行為をしてはダメなのですが、不祥事を起こしてしまった場合の姿勢として、一つのお手本になるかもしれません。

増沢 隆太 東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家

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ますざわ りゅうた / Ryuta Masuzawa

東北大学特任教授、人事コンサルタント、産業カウンセラー。コミュニケーションの専門家として企業研修や大学講義を行う中、危機管理コミュニケーションの一環で解説した「謝罪」が注目され、「謝罪のプロ」として数々のメディアから取材を受ける。コミュニケーションとキャリアデザインのWメジャーが専門。ハラスメント対策、就活、再就職支援など、あらゆる人事課題で、上場企業、巨大官庁から個店サービス業まで担当。理系学生キャリア指導の第一人者として、理系マイナビ他Webコンテンツも多数執筆する。著書に『謝罪の作法』(ディスカヴァー携書)、『戦略思考で鍛える「コミュ力」』(祥伝社新書)など。

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