民間企業による宇宙飛行が実施されるなど、宇宙はかつてないほど身近になっている。しかし、太陽系を離れた恒星への旅についてはどうだろうか? 私たちはいつか、遠い星まで出かけ、そこに住むことも可能になるのだろうか?
今回、NASAのテクノロジストである物理学者が、光子ロケットや静電セイル、反物質駆動、ワープ航法など、太陽系外の恒星への旅の可能性について本気で考察した『人類は宇宙のどこまで旅できるのか:これからの「遠い恒星への旅」の科学とテクノロジー』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
今回、NASAのテクノロジストである物理学者が、光子ロケットや静電セイル、反物質駆動、ワープ航法など、太陽系外の恒星への旅の可能性について本気で考察した『人類は宇宙のどこまで旅できるのか:これからの「遠い恒星への旅」の科学とテクノロジー』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
どれほどのエネルギーが必要なのか?
遠い恒星への旅を可能にするために必要な各種の技術を紹介する前に、恒星間の途方もない距離を飛行するのがいかに困難かを、「ミッションを妥当な期間で完了するために必要な速度まで探査機を加速するのにどれだけのエネルギーが必要か」に注目してお話ししておくことは役に立つだろう。
また、「妥当な期間」という言葉にも再定義が必要だ――それは、あなたが考えておられるような長さではないだろう。
そしてさらに、ときどき持ち上がる、倫理上の問題にも触れておかねばならない。
ある宇宙船が100%の効率でエネルギー源を推力に変換できたとしても(実際には不可能)、1キログラムのもの――現在打ち上げられている最小の宇宙機の質量と同程度――を光速の10分の1(0.1c、秒速約3万キロメートル)まで加速するには約450兆ジュールのエネルギーが必要である。
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