映えない「ディストピア飯」地味に人気の続くワケ 人々が食いつく背景には何があるのか
ディストピア飯の明確な起源は明らかではない。が、三原氏によると、おそらく最初にツイッターに投稿した火付け役、「死んだゾンビbot」(すでにアカウントが消されている)には2種類のディストピア飯の投稿があった。
1つは、コンビーフ、さきイカ、ソイジョイ、ビタミンドリンクなどを紙皿に並べた写真で、『核戦争後の荒廃した世界』チームとして、「今日は肉にありつけただけまだマシだぜ」とタイトルを付けている。
もう1つはカロリーメイト(ディストピア飯では定番)とビタミン剤、ウィダー・イン・ゼリーなどの『コンピュータに管理された未来』チーム、「昨日Aブロックで騒ぎがあったらしいぜ」という投稿。どちらもコンビニで売られる食品だけで構成されている。
「この時点で、ディストピア飯で投稿される2つのパターンが確立されています。1つは戦争や疫病などで文明が滅び、資源が枯渇した終末後の世界を表す『ポスト・アポカリプス型』。もう1つは、共産主義の原型と言われる、トマス・モアが16世紀に書いた小説『ユートピア』に出てくるような、全体主義的な管理社会」と三原氏は説明する。
投稿者たちが影響を受けた映画
【2024年4月9日10時32分追記】初出時、映画の内容などに誤りがあり、一部文言を修正しました。
最初の投稿を含め、投稿者たちにインスパイアを与えたのはおそらく、2012年に公開されたSF映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で、施設で主人公が食べさせられるペースト料理だ。その元ネタとなった映画が、1968年公開の『2001年宇宙の旅』。
「原作者のアーサー・C・クラークは、研究者からも助言を求められるような、半分科学者みたいな人。作中に出てくるペースト状の宇宙食は、当時の最先端の宇宙食にかなり近いビジュアルです。一方、ヱヴァのほうは、いかにもマズそうなイメージです」(三原氏)
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