「絶対にかなわない」上司が持つ"3つの技術" モンスター級にデキる人たちの共通点
高いレベルの要求というのは、大抵の場合、聞いた瞬間に「無理」と思えるものが多いのが特徴です。たとえば、「天気を変えろ」「満席の飛行機に座席を確保しろ」「ほかの会社で内定が出ている優秀な候補者を引っ張ってこれるようにしろ」などなど。
でも、いずれの場合も部下たちには「NO」という選択肢はありません。なぜなら、外資系においてボスに「NO」と言うのは、「私は仕事ができません、ゆえにクビになっても結構です」と言っているのと同じになるからです。
頭ごなしではない「正しいワンマンスタイル」
ここで言う「モンスターボス」とは、いわゆる、頭ごなしに命令するような、ワンマン上司ではありません。部下の仕事内容、現場の状況を、すべて把握したうえで、先陣を切ってリスクを取り、部下を守りながらも叱咤激励して仕事をさせる、「正しいワンマン」スタイルを指しています。
リーマン・ブラザーズでの上司は、そのような意味でもまさに「最強の」モンスターボスでした。いつも細身のバリッとしたイタリア製のスーツに身を包み、頭のてっぺんから足の先まで一分の隙もありません。どんなにその前の晩に遅くまで飲んでいようが、朝は誰よりも早く会社に来て、完璧な状態でデスクで仕事をしています。
その目は鷹のように鋭く、周りで起きていることは、自分が何をしていようと見逃すことはありません。実力だけで自分がいる部署のグローバルヘッドの地位をつかんだ彼には、絶対的な自信があり、周囲に自分への「NO」を許さない、圧倒的なオーラがありました。
彼には、その前の職場とリーマン・ブラザーズにおいて、21人の秘書を切ってきたという“華々しい”ヘッドハンター泣かせの経歴がありました。それは、自分がベストな状況で仕事を完遂するために雇っているはずの秘書が、その要求水準を満たせずに自分の足を引っ張るのならば容赦なく切り捨てるという、彼の強固な意志の表れでした。
彼が「今」と言ったら「今」。そこでひと言でも言い訳をしようものならば、容赦ない叱責が飛びます。「できない言い訳」をする暇があったら、「やるだけやってから」説明をしろ、ということなのです。できないのならば、限りなく彼の要求に近い代案を出すことを要求しているのです。
「私が最初に就いた仕事は、銀行の窓口でスタンプを押す係だからね」
このボスの言葉を聞いたとき、驚きましたが、すぐに納得しました。最初から用意された出世コースを上ってきたわけではなく、つねに「上へ上へ」という信念があったからこそなのです。