ラピダスの前途が手放しには「楽観」できない事情 日本の半導体産業に巡ってきたラストチャンス
ラピダスによれば、今回の第1棟(IIM‐1)に加え、将来同じ場所に第2棟の建設も考えていて、最終的に計画を遂行するには約5兆円の投資が必要になるとのことです。
ラピダスはIBMと技術提携し、2ナノ以降のGAA(ゲートオールアラウンド)型トランジスタ技術のライセンス供与や技術者をIBMで教育することなども計画されています。またラピダスはベルギーにある国際研究機関IMECとも連携すると発表されています。
日本の半導体産業に巡ってきた"最後のチャンス"
ここで世界における最先端テクノロジーノードの状況を見てみると、サムスンは2022年に3ナノのFINFET(立体構造の工程技術)の量産を開始しており、TSMCに至っては2024年には2ナノのGAA(ナノシートトランジスタ)のパイロット生産を開始し、2025年には台湾の高尾や台中の工場で量産する予定です。
これらの状況を勘案して、ラピダスの今後を考えると、さまざまな問題点や課題が浮き上がってきて、その前途は必ずしも楽観できるものではないと思われます。
以上述べたような、日本の半導体産業の復活に向けた動きは、「遅きに失した」という感も無きにしもあらずです。
しかし、これが産官学をあげて失われた35年の自省と決断から生まれたものか、アメリカの新たな半導体戦略に突き動かされた、あるいは半ば強要されたものかは問わないとして、「日本の半導体戦略が世界の構図に無視できない影響を及ばしつつある」という、ある国のコメントを待つまでもなく、「日本の半導体産業に巡ってきた最後のチャンス」と心しなければならないでしょう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら