ラピダスの前途が手放しには「楽観」できない事情 日本の半導体産業に巡ってきたラストチャンス

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TSMCによる新しい工場の内容を見ておきましょう。まず、1兆3000億円規模の投資の過半をTSMCが出資し、ソニーセミコンダクタソリューションとデンソーが資本参加し、日本政府(経済産業省)が最大4700億円の補助を与えます。

そして注目の工場は、22/28ナノのプレーナ型、12/16ナノテクノロジーノードのFINFET(立体構造の工程技術)を用いた、月5万5000枚の300ミリのシリコンウエハー処理ラインを建設するという内容です。

工場建設は、2022年4月から熊本県菊池郡菊陽町で開始され、2024年末から生産開始の予定で進んでいます。

この工場が日本の半導体産業の復活にどれだけ寄与するかは議論のあるところですが、少なくとも低迷していた日本の半導体産業へのカンフル剤としての役割は期待したいものです。

経産省"肝いり"ラピダスへの期待と不安

2つ目は、2022年8月に設立され、2023年9月1日に北海道の千歳市で起工式を迎えた、2ナノテクノロジーノード以降の最先端ロジック半導体の開発・生産を目的とした工場のラピダス(Rapidus)です。

ラピダスには、トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJの8社、総額73億円の出資に加え、日本政府(経済産業省)からの試作ラインや研究開発支援として、現在のところ3300億円の補助を得てスタートしています。

ここで出資8社について少し考えてみましょう。いずれの会社もラピダスが国(経産省)の肝いりで発足し、手厚い資金援助を受けられるという好条件が根底にあることが出資の前提になっているでしょう。

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