「3重」障害抱える女性、働くための人知れぬ努力 活躍に必要な企業側の「合理的配慮」とは

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心身に「3重」の障害を抱えながら、努力を怠らなかった筒井さん。やりがいを持って働けた職場では、周囲の理解や配慮があったことも大きかった。「障害者雇用促進法」は、障害がある労働者が能力を発揮するために、支障を取り除いたりするための措置を「合理的配慮」と定め、2016年から雇用する事業者側に提供を義務づけている。

とはいえ、どのように配慮すればいいか、わからないという企業も少なくない。ヒントを求めて記者が訪れたのが、FA(ファクトリー・オートメーション)機器大手・オムロンの特例子会社「オムロン京都太陽」(京都市)だ。

特例子会社は障害者の雇用に特化した子会社で、一定の要件を満たせば、そこでの雇用人数を親会社のものとしてカウントできる。職に就ける障害者の増加を後押ししてきた一方、通常業務から隔離しているとの批判もある。

一方、オムロンは法令雇用率の達成が義務化される以前から、50年以上にわたって障害者雇用に取り組んできたパイオニアだ。それだけに、京都太陽では障害者が働くためのさまざまな合理的配慮を見ることができた。

オムロン京都太陽の工場棟。約115人の障害者が働く(記者撮影)

特例子会社という甘えは許されない

体温計や血圧計で有名なオムロンだが、実は工場で使用されるセンサーなどが主力製品だ。京都太陽は全従業員約60人のうち、およそ35人が障害者。提携する社会福祉法人からも約80人の障害者を受け入れ、オムロン本体から受注したソケットや電源などの少量多品種生産に取り組む。扱っている製品は約1500種類に上る。

「ここで作った物はオムロンの看板で世界中に出荷される。当然、高品質と収益性を求められる。『特例子会社だから』という甘えは許されない」。京都太陽の三輪建夫社長(取材当時、2024年3月に退任)はそう強調する。

生産ラインでは、作業効率を高めるための工夫がこれでもかと施されている。例えば、複数の部品をピッキングするブース。指示書に印刷されたバーコードを読み込むと、必要な部品の棚に備えられたライトが光る。取り出すとセンサーが反応し、次に袋へ詰めるべき部品の棚が点灯する。ライトを追っていけば、いつの間にか作業は完了。部品の組み合わせを覚えられなかったり、指示書の文字を読めなかったりする知的障害者でも簡単に働ける。

こうした環境整備の根源にあるのは、「業務ありき」の発想だ。

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