「3重」障害抱える女性、働くための人知れぬ努力 活躍に必要な企業側の「合理的配慮」とは

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ハローワークを経由し、次は地元の大学で事務補助員として働いた。有期雇用のアルバイトで賃金は低かったが、仕事の内容は充実していた。高い語学力を見込まれ、研究者が海外の大学や企業と共同プロジェクトを始める際の契約業務を任されたのだ。気持ちも上向き、障害と少しずつ向き合えるようになった。どうすれば円滑に仕事が進むかを考え、実行した。

身体障害との付き合いでは電動車いすのリクライニング機能を活用。1時間に1回、5分ほどかけて全身を動かし、強張りやすい筋肉の緊張をほぐす。疲れがたまると、集中力が散漫になり、誤りが増えると気付いたからだ。

発達障害への対処法もわかってきた。任された案件をうまくスケジューリングして早めの取り組みを心掛けるように。提出期日の前日までに書類を完成させ、必ず2回は見直すことでミスは確実に減った。

スピードを追求するため、特技の速読術をさらに磨いた。休日はITスキルやマネジメントの本を読んで新たな知識を学んだ。コミュニケーションの面でも、相手の立場を考え、伝わりやすい言葉を投げかけるようになった。

東京五輪の組織委員会でも活躍

自信を得た筒井さんは、「国際的な舞台で活躍したい」という幼少期からの希望を叶えるため、東京オリンピックの組織委員会に応募。契約社員として採用され、上京して1人暮らしを始めた。組織委の内外に出す文書の英訳と和訳を務め、「夢のような時間を過ごせた」と充実した日々を振り返る。

五輪閉会後も東京に残り、次はIT企業の非正規雇用で働いた。だが、体調を崩して入院し、統合失調症を発症したこともあり、2023年12月末で退職。今も定期的な通院を欠かさず、薬を服用して症状を抑え、別の民間企業で翻訳業務に従事している。

待遇はまたしても契約社員で、現在の目標は安定した正社員の職に就くことだ。障害者雇用枠での募集は少なく、競争が激しい。軽度の身体障害者が企業間で取り合いとなる一方、筒井さんのように重い障害や精神的な疾患を持つ人は敬遠されやすいという現実もある。

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