従来型の日本企業のオフィスでは、部や課の島があり、その島の「お誕生席」に部長や課長といった管理職が座って部下を管理していました。
コロナでリモート勤務が行われて明らかになったのは、そもそも、人を管理するのは難しいということです。
上司が指示を出す、部下はその指示を待つ、といったやり方は機能しなくなった。リモート勤務は改めて、そのことをあぶり出しました。
管理型の経営から、任せる経営へ
この本でも、上司=判断する人、部下=実行する人、というように分けるのは産業革命期の古いやり方であって、これからはそれではいけない、ということが書いてあります。私も同意見です。
それでは、管理型のやり方が終わるとして、これからはどうなるのか。答えは、メンバーに任せていく、任せる経営です。では、どうやったら任せる経営ができるのか。
それは、組織の目指すところと個人の目指すところを一致させることです。そして組織が目指そうとしていることをみんなで共有するプロセスを持つ。そういうことが大事になります。
ロイヤリティ(忠誠心)と滅私奉公に基づく時代から、会社と社員が同じところを目指すという、エンゲージメントとエンパワメントの時代になったのです。
この本の著者のマルケさんも、リーダーである自分が命令すること=管理型のやり方が抱える問題に気づいて、命令をやめています。
命令する代わりに彼がしたことは、「自分たちの目的は何で、何を成し遂げようとしているか」を伝えることでした。まさに、部下に委ねたのです。
さらに彼は、チーム内で話す言葉を変えることで、組織の文化まで変わったという指摘もしています。そうだとするなら、日本人も、組織内のコミュニケーションを変えるべきでしょう。