「仕事の完遂」をつねに「美徳化」する上司の盲点 優秀なリーダーが「仕事を区切る」3つの理由

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私たちの身体には、続けることが染みついている。

生産ラインで働いている人は、一単位の仕事が完了しても、作業を続行する。作業は永遠に繰り返され、区切りがつくという感覚はいつまでたっても生まれない。

区切りをつけられない構図

例をあげよう。

サービス産業で、新しいパンフレットの草案をようやく作って上司のところへ持っていくと、上司から「よし、ここを少し変えてくれ」と言われる。これも続行だ。

小売企業で、ウェブサイトの試作版を懸命に作成し、少数のモニター顧客にチェックしてもらえるようにしたとたん、上司から「で、次のアップデートはいつ?」と尋ねられる。これもまた続行だ。

あるいは、ある社員が率先して、クライアントが抱え続けている問題の画期的な解決策を探したいと申し出た。それなのに、会社の経営陣の反応は沈黙のみ。……結局、従来どおりのやり方を続行するしかない。

では、こうして続行することの何が問題なのか? なぜ区切りをつける必要があるのか? 3つの問題がある。

続行の問題① 進路変更がしにくくなる

区切りをつけないと、その工程を複数の要素に切り分けて考えられなくなる。これにはいくつかのリスクが伴う。

まず、工程を区切らないと最初に決断すれば、長く続けなければならないという意識が生まれ、責任感の過熱に陥るリスクが生まれる。

要は、進路変更の必要に迫られてもそれをしにくい組織となってしまうのだ。

ロケットの打ち上げに失敗したNASAが当初の打ち上げ日程にこだわり続けた、沈没した貨物船エルファロの船員たちが直進ルートを進み続けた、といった行為は、区切りをつけ損ねたことに端を発する過ちだ。

長く続ける行為を仕事だと思い込んでいると、最初の計画を続けようとする惰性に打ち勝たない限り、途中のどんな変更も実行可能な選択肢にならない。

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