人が老化する「科学的原因」と結局やるべきこと 抗加齢に「ブレイクスルー」はあるか
・染色体の問題
細胞が複製されDNAがコピーされるたびに、染色体の末端は少しずつ短くなる。ゲノムのこの特別な部分は「テロメア」と呼ばれ、靴ひもの端にあるプラスチックのキャップに例えられることが多い。
テロメアが短くなりすぎると、細胞は分裂を停止する。若いうちはこのプロセスは健全で、細胞が永遠に複製を繰り返し、がん化するのを防ぐのに役立つからだ。しかし、年齢を重ねるにつれて、テロメアの短縮が問題となる。特に幹細胞は、体内で皮膚や血液などの組織を補充するために使われる。
幹細胞はテロメア短縮に対抗する特別な手段を持っているが、やがてテロメアを失ってしまう。そうなると、「幹細胞は分裂できなくなり、幹細胞の集団が失われてしまう」とディリンは言う。
幹細胞の減少は、白髪や薄く弾力のない肌など、加齢による身体的徴候の主な原因となる。幹細胞を補うというスキンケア製品もあるが、効果があるという証拠はほとんどない。
「生物学的年齢」を示すもの
・エピゲノムの問題
他の変化は、エピジェネティクスとして知られるもの、つまり細胞内でどの遺伝子がオン・オフされるかに影響するゲノムへの化学的修飾によって起こる。
エピジェネティクスの変化には、人間が成長する過程で自然に起こるものもあれば、環境によってもたらされるものもある。専門家の中には、エピジェネティクスの変化からその人の「生物学的年齢」を知ることができると言う人もいる。