人が老化する「科学的原因」と結局やるべきこと 抗加齢に「ブレイクスルー」はあるか

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「ゴミ処理」の問題

上述のような問題により、加齢とともに不良細胞が蓄積されるだけでなく、体内の不良細胞の処理方法もおかしくなる。

「老化細胞」が蓄積する仕組み

・不良細胞の処理の問題

機能不全に陥った細胞を処理する最も重要な方法の1つは、老化と呼ばれる状態に追いやることである。これらの細胞は分裂を停止し、免疫系にシグナルを送る炎症性化学物質を分泌し始める。

通常、これは問題ではなく、むしろ正常な細胞のターンオーバーには必要なことなのだが、加齢とともに2つのことが起こる。第1に、廃棄しなければならない細胞が増える。第2に、廃棄システムが壊れ始める。その結果、老化細胞が蓄積し、炎症がますます大きくなる。

「若いうちは、通常、免疫システムは老化細胞に対処することができる」と、長寿について研究する企業、オプティスパンのCEOであり、ワシントン大学健康長寿研究所の前所長であるマシュー・ケーブライン氏は言う。

「しかし、年をとるにつれて、慢性炎症のせいもありますが、免疫システムがそれをできなくなる。そのため、老化細胞が蓄積し、さらにダメージが大きくなり、炎症が起こり、免疫機能が低下する」

科学者たちは、まだ研究は予備段階であるが、老人細胞溶解薬として知られる一群の薬物を使って、老化細胞の除去を促進する方法を模索している。

・悪いタンパク質の処理問題

ほとんどの細胞は、自らが作り出すタンパク質を介してその機能を果たしている。DNAが家の設計図であり、細胞が建築作業員であるとすれば、タンパク質は木材、くぎ、乾式壁である。

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