DeNA南場会長が語る「日本はダイナミズムがない」 DeNA南場会長とハイセンスジャパン李社長対談

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最近はその点における中国の勢いも陰りがありますが、日本は中国のダイナミズムから学ぶことが多いです。

日本は資源のない小さな国ですから、オープンな交易をして経済圏を開いていかないと先がないんですよ。今の分断とか内向きの状態は日本には決してプラスにならないので、オープンな世界にするリーダーシップを日本は発揮していかないといけない。

:南場会長はそうおっしゃるけど、十数年日本にいる私は最近の日本がとても元気だと感じます。物価が上がり賃上げも始まった。東京には麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズのような高層ビルが続々と建ち、地方だってそう。広島の真ん中に大きなスタジアム「エディオンピースウイング広島」が建設され、TSMCの熊本工場が稼働しました。TSMCはこれからも日本に投資するでしょう。

バフェット氏が日本株を買い、日経平均が4万円に乗り、不動産価格もずっと上昇している。

日本のニュースやインターネットで経済が悪いという意見をたくさん見ますけど、経済が悪ければビルやスタジアムは建たないし、私にはビジネスチャンスにあふれた国に見えますよ。それに教育の質も高いし、人々のマナーもいい。だから世界中から外国人が日本に旅行に来たがるんですよ。

中国では失敗を気にしない

南場:李社長が外から見た視点で、日本のこういうところがすばらしいと言ってくださるのは非常に嬉しいですが、中にいるとどうしてもやきもきして足りないものばかり目についてしまいます。

:多くの人が自分の国に対しては厳しい目でみがちだけど、南場会長もそうですが、日本人は特に厳しいですよね。順調なときも危機感を忘れない。

資源が少なかったり国土が小さいから、生存のために危機感が強くなるのでしょうか。中国人は国が大きくて人口も資源もあるので、チャンスの大きさに目が行って、失敗も気にしません。芸能人だってそうですよ。日本はスキャンダルが出たら、タレント生命が終わりって感じですよね。中国は人も事件も多すぎて忘れちゃいますから、すぐ復活できます(笑)。

日本人の自身への要求の高さは、製品やサービスの質に反映されているし、人々の礼儀正しさにつながっています。世界でいちばんのものが多くあって、ノーベル賞受賞者だってたくさん輩出しているじゃないですか。

中国企業は急速に成長しましたが、技術の蓄積はまだ足りていないし、製品品質の基準なども日本企業との差は大きいですよ。

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