平気で「減塩味噌」使う人が知らない超残念な真実 「本当に減塩になってる?」ヤバい落とし穴は?

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『食品の裏側』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

減塩味噌で作った味噌汁を飲むと、「これは塩が薄いな」と舌は感知します。

しかし減塩味噌汁は、味噌に力がないから物足りません。

Aさんのように「飲んだ気がしない」という感想が出るのも当然といえば当然です。その分、量を多く飲んでしまったり、他の塩分の濃いものをとってしまったら、意味がないわけです。

大事なのは「絶対塩度」と私が口を酸っぱくして言うのがおわかりいただけたでしょうか。

そうであれば、しっかり塩を打った「おいしい」味噌汁のほうが、味もしっかりして、結果的に少ない量で満足できることも多いのです。

「本物の味噌」「一杯の味噌汁」のおいしさ

「減塩味噌」は確かに「減塩」という目的は果たすことができるでしょう。しかし「味噌汁本来のおいしさ」を失ったばかりか、結果的に全体の塩分量が増えたのでは「本末転倒」としかいいいようがありません。

朝、起きて台所に味噌汁の香りが満ちている幸福感、味噌汁を飲むときのおいしさは、日本人なら誰もが共感していただけるのではないでしょうか。温泉旅館で朝飲む一杯の味噌汁も、また格別なものです。

私が15年かけて開発した『安部ごはん』でも、「『豚肉✕甘みそ』の黄金コンビ!うますぎるコク肉なす」など、味噌を使った料理をたくさん紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

安部氏が開発した「魔法の調味料」さえあれば、簡単に作れる「『豚肉✕甘みそ』の黄金コンビ!うますぎるコク肉なす」(『安部ごはん』より/撮影:佳川奈央)

「長期熟成の味噌」はやや値段が張りますが、やはり格別のおいしさがあるものです。

減塩もいいけれど、「本物の味噌を使った料理のおいしさ」「一杯の味噌汁のおいしさ」をぜひ忘れないでいただきたいそれが私の思いです。

次回、味噌シリーズの5回目、最終回では「『味噌汁が臭い!』といって飲めない子どもたち」について紹介します。

*味噌シリーズの1回目:味噌の「米・豆・赤・白」の違い、正確に言えますか?

*味噌シリーズの2回目:平気で「安い味噌」買う人が知らない超残念な真実

*味噌シリーズの3回目:平気で「だし入り味噌」使う人の超深刻すぎる盲点

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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