自動運転が「大きな曲がり角」に直面している訳 技術や法整備は世界レベルになった日本だが…

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市民向けに「公共交通フェスタ」を開催するなど、次世代の街づくりにおける公共交通の変化の必要性を定常的にアピールしているのも、印象的だ。「公共交通=社会保障」として、自治体の立ち位置が明確化されているのである。

また、冬場の降雪時を含めた通年の自動運転社会実装として注目されるのが、北海道上士幌町だ。

雪上走行する、上士幌町の自動運転車(筆者撮影)
雪上走行する、上士幌町の自動運転車(筆者撮影)

同町では、地域公共交通計画(2021年3月)とともに、第2期SDGs未来都市計画(2024~2026年)を明確に示し、大きな社会変化の中で「町のありたい姿」を町が地域住民に対して持続的に説明している。

その中で、自動運転が「社会と共存」している印象を持った。ここでも、「公共交通=社会保障」という考え方のもと、自動運転が社会実装されている。

降雪地域では帯広市も実証実験を開始

降雪地域での自動運転では、技術面で解決するべき課題はまだ多い印象だ。そうした中、上士幌町から最も近い中規模都市である帯広市でも、2024年1月末に市内公園付近の一般道でエストニア・オーブテック社の「MiCa」を使った実証実験を開始した。

これをきっかけとして、上士幌町と帯広市とで、降雪地域での技術課題解決に向けた意見交換が進むことが期待される。

帯広市の自動運転実証試験の様子(写真:帯広市)

そのほか、2020年度から自動運転の導入検討を進めてきたのが、長野県塩尻市だ。2025年の市内での社会実装を踏まえて、新型車両を購入して本格的な実証を開始している。

同市の特徴は、高精度3次元地図の作成などで、塩尻市振興公社の自営型テレワーク推進事業「KADO」を活用している点だ。

「公共交通=社会保障」という前提のもと、事業化の側面で新しいチャレンジである。詳細については、「なぜ?塩尻市が『自動運転』で全国から注目のワケ」をご参照いただきたい。

いずれの事例も、地域社会における自動運転の導入に特化しているのではなく、日本の社会構造が今、高齢化や産業分野の転換などによって変革期を迎えている中で、国が推奨する「地域公共交通のリ・デザイン」を重視している。

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