女流歌人をイジる「藤原道長」への"痛快な反撃" 子供の様な行為にぎゃふんと言わせた和泉式部

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では、そんな紫式部にとって「頭が下がる」ような歌人は誰なのか。それは大隅守・赤染時用の娘で、「中古三十六歌仙」の一人とされる赤染衛門(あかぞめえもん)だ。

「中古三十六歌仙」とは、藤原範兼が『後六々撰』に選び載せた和歌の名人36人のこと。藤原公任が選んだ「三十六歌仙」には入っていないものの、秀でた者、あるいは、後世の歌人で構成されている。

その後、鎌倉中期に成立した『女房三十六人歌合』の「女房三十六歌仙」にも選ばれているから、その実力は誰もが認めるところだったのだろう。

紫式部も「まことにゆへゆへしく」、つまり「まことにいかにも本格派」と赤染衛門を評価。「歌よみとて、よろづのことにつけて、よみ散らさねど」とあり、「歌人だからといってどんな場面でも読み散らすことはないが」としながら、こう続けている。

「知られている歌はどれも、ちょっとした折に詠まれたもので、それこそ<頭が下がる>ほどの詠みぶりである」

(「聞こえたるかぎりは、はかなき折節のことも、それこそ恥づかしき口つきにはべれ」)

清少納言のことは激しく批判し、和泉式部については理論に乏しいものの天性の才能を評価した紫式部。一方で、赤染衛門のことは手放しで評価していることが伝わってくる。

夫とラブラブでついたあだ名とは?

また、私生活の面においても「けしからぬ」和泉式部とは違い、赤染衛門は夫の匡衡と夫婦仲がよかったことも、紫式部はほほえましく感じていたようだ。

「丹波の守の奥様のことを、中宮様や殿の周囲では<匡衡衛門> なんてあだ名で呼んでいるんですよ」

光る君へ 大河ドラマ
凰稀かなめさん演じる赤染衛門(写真:大河ドラマ公式インスタより引用)

夫の匡衡とあまりに仲良しなので、彰子や道長らが赤染衛門のことを「匡衡衛門(まさひらえいもん)」とあだ名で呼んでいた……そんなエピソードも紫式部は書き記している。

和歌に対する姿勢はすばらしく、プライベートも夫婦ラブラブで何より……。それくらいでこのテーマについては終わっておけばよいものの、紫式部は赤染衛門のことをさらに褒めるために、わざわざ世間を見下してから、赤染衛門の項目を締めくくっている。

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