紫式部が見た「中宮彰子」の異様すぎる"出産光景" 出産は「物の怪」との戦い、涙を流す女房の姿も
中宮・彰子の身体に異変が起きる
寛弘5年(1008)9月9日、出産を控える一条天皇の中宮(藤原道長の娘)・彰子に異変が起きていました。
『紫式部日記』によると、紫式部が御前に参上したのは、空が月にかかる夕暮れ時の頃。すでに、小少将の君や大納言の君などは、御前に控えていました。
お香を取り出して、香りを試していた中宮に、女房たちは「庭の景色が綺麗なこと」「蔦の色づきが待ち遠しい」などと語りかけていました。
そんなやりとりも垣間見ることができましたが、中宮の様子は、いつもより苦しげだったようです。その様子を見て、紫式部の心はざわめきます。
その後、紫式部は局(部屋)に下がって横になり、仮眠のつもりが、深く寝入ってしまいました。
そして夜半になると、屋敷は騒がしくなり、ガヤガヤと人々の声が紫式部の耳に入ってきます。
(いよいよか……)。紫式部の心は湧き立ち、それからは一睡もしなかったのでしょう。
明け方頃、中宮は白い御帳台(天蓋付きのベッド)に移られます。道長やその子どもたち、四位や五位の官人たちが、御帳台の白い帳を、ワイワイ言いながら掛けたようです。
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