「(赤染衛門ほどの実力もない人が)ややもすれば、上句と下句が繋がらないような腰折れ歌どころか、腰が離れてしまっているような歌を詠んでても、何とも言えない風流を気取った態度で「自分は賢い」と思っている人は、憎らしいと同時に、その身の程しらずな様にかわいそうにとさえ思います」
(ややもせば、腰はなれぬばかり折れかかりたる歌を詠み出で、えも言はぬよしばみごとしても、われかしこに思ひたる人、憎くもいとほしくもおぼえはべるわざなり)
清少納言の悪口へと続く
誰とも言わずに、ここまでこき下ろせるのもすごい。それだけ紫式部は和歌を大切に考えていたということだろう。
ちなみに、『紫式部日記』では、このあとに続くのが、有名な清少納言の悪口である。何か連想されるものがあったのだろうか……。
(つづく)
【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
笠原英彦『歴代天皇総覧 増補版 皇位はどう継承されたか』 (中公新書)
今井源衝『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
倉本一宏『敗者たちの平安王朝 皇位継承の闇』 (角川ソフィア文庫)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
鈴木敏弘「摂関政治成立期の国家政策 : 花山天皇期の政権構造」(法政史学 50号)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)
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