ニコンで「著名CFO」が新社長に登用される必然 ソニーグループと同様に「社長がCFOを兼任」へ

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ニコン社長交代会見
ニコンは今年2月に開いた社長交代会見で、CFOを務める德成氏(右)が社長に就任することを発表した。現社長の馬立氏(左)は德成氏について「もはや銀行から来られた方とは思っていない」と強調した(撮影:今井康一)

「CFO(最高財務責任者)社長」が製造業の企業でまた誕生する。

老舗光学機器メーカーのニコンで、德成旨亮CFO(64)が4月1日付で新社長に就任することになった。馬立稔和社長(68)は代表権のある会長となる。

德成氏は社長就任後もCFOを続け、COO(最高執行責任者)とCRO(リスクマネジメントの最高責任者)も兼ねる予定。これは、昨年4月に副社長兼CFOから社長COO兼CFOになったソニーグループの十時裕樹氏に続く動きといえる。

ニコンの社長は長らく技術系の人物が務めており、文系からの登用は45年ぶりとなる。德成氏が銀行出身であることも話題を集めた。

日本を代表するCFOの1人

実際、2020年4月にニコンに入社するまでは、銀行で長くキャリアを積んだ。1982年に三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)に入行。2015年からは三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)でCFOを務めた。

MUFGのCFOだった間、アメリカの金融専門誌『Institutional Investor』が投資家などの投票に基づき発表する「ベストCFO」に4年連続で選ばれた。

著書の『CFO思考』も話題になった。德成氏はMUFG時代にリーマンショックで窮地に陥ったモルガン・スタンレーへの出資を実現するために奔走した。その経験を振り返りながら、冷徹な計算をベースにリスクを取ること、自ら投資家に対ししかるべき説明をすることで企業価値を高めることを説いている。

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