ニコンで「著名CFO」が新社長に登用される必然 ソニーグループと同様に「社長がCFOを兼任」へ

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CFOは単なる金庫番ではなく、財務状況に基づいた投資判断を行い、企業価値の向上に責任を負う。これを自ら実践してみせる德成氏は、日本を代表するCFOといえる。

德成氏や十時氏のような社長兼CFOとまでいかなくても、CFO経験者の社長登用が製造業で増えている。近年の主なCFO経験者の社長は下表のとおり。ソニーグループの歴代2社長、オリンパスの竹内康雄・現会長、NECの森田隆之社長など、さまざまな規模や業態の会社で登用されている。

CFO経験者の主な社長

背景にある「株主ガバナンス」

「日系企業の経営が『銀行ガバナンス』から『株主ガバナンス』へと変化する中で、CFOの重要度が増している」

元エーザイのCFOで、現在は大学などで経営者の育成にも取り組む柳良平氏は、CFOの経験を持つ社長が増えている背景をそう説明する。

過去を振り返ると、企業にとっては銀行を通じた資金調達の重要度が今よりも高かった。銀行から信頼を得るうえでは、多額の現預金や不動産、株式などの資産を持つことが合理的であり、美徳でもあった。

しかし、株式市場や投資環境が成熟してきた現在、状況は変わった。成長投資に回さない資産を厚く持つことは、株主からみると資産効率の悪さとして映る。東京証券取引所もプライム市場とスタンダード市場の上場企業に対し、持続的な成長のための資本効率の改善を求めている。

このような流れの中で、政策保有株や不動産を売却し、成長投資の原資とすることを表明する企業が増えてきた。最適な自己資本比率を考え投資判断を行い、その説明を株主に対し行う。これらはCFOの担当する領域だ。ガバナンス意識の変化によって、CFOの重要度が増している、というわけだ。

また柳氏は、「CFOを経験した社長は事業領域が多岐にわたる企業にとくに適している。各事業への資本の配分を考える経営は、投資家の発想に近い」と話す。

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