キヤノンに見える「事業、経営陣、対話姿勢」の変化 次代の新取締役「海外営業の実力者」は副社長に
キヤノンが1月30日、2023年12月期決算を発表した。売上高は過去最高を記録した2007年に次ぐ水準の4兆1809億円(前期比3.7%増)。営業利益は3753億円(同6.2%増)だった。2024年12月期の業績見通しは売上高が4兆3500億円、営業利益が4350億円、と大幅な利益増を見込む。
注目すべきは増益要因の一つとなる医療機器事業、そして新たな顔ぶれが加わる経営陣、株式市場との対話の姿勢だ。いずれもキヤノンの変化をとらえるうえで見逃せない。
キヤノンは事務機とカメラを主軸とした事業構成を変えるべく、商業産業印刷や医療機器、監視カメラなどより成長性の高い新規事業を育成してきた。これらは現在、全社売り上げの3割弱を占めるほどになった。
2011年以来の営業利益率2桁を見通す
その甲斐あって売上高は、ペーパーレス化やスマートフォンの普及といった逆風が吹く前の水準にまで回復した。一方、成長途上にある新規事業は投資がかさむため、過去には15%ほどあった営業利益率は、2023年には9%になっている。
しかし2024年は10%と、2011年以来の営業利益率2桁を見込む。カギを握るのは、採算の低い状態が続く医療機器だ。
医療機器の2023年の事業別営業利益率は5.7%。半導体露光装置など産業機器の18.6%やカメラの16.9%、印刷関連の9.7%と比べると物足りない。だが、決算説明会で浅田稔専務執行役員は次のように宣言した。
「早期に2桁の利益率を達成し、BIG3(ゼネラル・エレクトリック、フィリップス、シーメンス)に伍していける盤石な経営基盤を構築する」
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