キヤノンに見える「事業、経営陣、対話姿勢」の変化 次代の新取締役「海外営業の実力者」は副社長に

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経営陣の新たな顔ぶれとともに目を引いたのが、株式市場との対話の姿勢だ。

今回、決算説明会資料に初めてROE(自己資本利益率)に関する説明が入った。2023年は8.2%だったが、生産拠点の集約などによる資産圧縮や負債の有効活用により、早期に2桁台回復を目指す。

また、従来は上期決算と同時に発表していた増配についても、今回は2024年期初からアナウンスした。キヤノンとしては「結果としてついてくる」としていたこれらの事柄について、事前の説明を市場に行うようになってきている。

また、子会社のキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)からは、機関投資家などが批判する「親子上場」について議論を深めることが発表された。

特別委員会で株主利益を審議・検討

国内販売子会社であるキヤノンMJの筆頭株主はキヤノン。発行済み株式の57.7%を保有している。これを理由に独立性に疑義がつくとして、株主総会では経営トップであるキヤノンMJ社長やその他取締役の取締役選任に反対票を投じる機関投資家もいる。

これまでキヤノンMJは、業績も含めて経営状態に問題がないこと、人材採用に際しての優位性や知名度向上などの観点から、自社・株主双方にとって上場によるメリットがあることなどを説明してきた。

しかし、取締役会の諮問機関として、独立性を有する社外役員で構成される特別委員会を1月末に設置。少数株主の利益保護の観点から支配株主と少数株主との利益が相反するリスクについて審議・検討を行うことにした。具体的な検討内容は明かされなかったものの、市場からの要請を踏まえた対応と取れる。

事業転換に次世代経営陣の育成、さらにはガバナンスの再考。キヤノンは将来に向けた布石を着実に打っている。

吉野 月華 東洋経済 記者

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よしの・つきか / Tsukika Yoshino

精密業界を担当。大学では地理学を専攻し、微地形について研究。大学院ではミャンマーに留学し、土地収用について研究。広島出身のさそり座。夕陽と星空が好き。

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