今、久村さんがお子さんに語っている内容は、ある種の忠告的要素をもった「説教」と考えられます。学校の先生が言っている内容もその範疇に入ると思いますが、残念ながら、説教のような言葉を子どもにかけてもまったく意味がないのです。なぜなら、当たり前のことを言っているにすぎないからです。
例えば、「手洗い、うがいをしないから風邪ひくんでしょ!」「夜遅くまでゲームをやっているから、朝起きられないんでしょ!」も同様です。子どもはそんなことはわかっていて、それができないから困っているのです。ですから子どもがわかりきったことを言っても響かないのは当然です。
響かないだけではなく、このような状態が続くと、今後次のような展開になっていきます。
親はさらに何度もしつこく言うことでやらせようとします。時に大きい声で、時にきつい口調で。すると子どもは、うんざりとしてきます。「そこじゃない」と心の中で感じていても口にはしません。自分の気持ちを適切な言葉を使って表現するだけのボキャブラリーと表現力がまだないからです。
それ、本当に「反抗期」ですか?
子どもの中には、諦めて嫌々ながらやる子もいます。すると親は、「やっぱり子どもには何度もきつく言い続けないとやるようにならない」と受け取ります。すると、今後もこの“フォーマット”をたびたび使っていきます。すると、思春期を迎えた頃に子どもが“爆発”していきます。それを親は、「反抗期」と名づけます。「うちの子、反抗期で大変なのよ」と、まるで子どもに問題があるかのような発言をし、さらに親子関係が悪化するケースもあります。
反抗期とは、「今までとは対応を変えてほしい」という子どもからのメッセージです。今までは、嫌々ながらも親の言うなりにやっていたけども、いいかげん堪忍袋の緒が切れたとばかりに“爆発”する状態が、大人たちが言う反抗期の実態です。
このように、当たり前のことを言い続け、子どもに問題があると考えているうちは、残念ながら、今のループから抜け出ることは容易ではありません。
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