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チベット仏教の聖地「スピティバレー」で目撃した「標高4000mに暮らす人々」の実態(写真:筆者撮影)
世界36カ国を約5年間放浪した『花嫁を探しに、世界一周の旅に出た』著者であるTVディレクター・後藤隆一郎氏が、ヒマラヤ山脈で遭遇した「世界一危険な道」、そして、その先にある辺境の地、チベット仏教の聖地「スピティバレー」への道中で出会った「標高4000mに暮らす人々」の実態をお届けします。
車の進行を拒むヤギの群れ
車両の前方が水につかると、ガタンという音がし、タイヤが底についたのを感じとった。
それほど深くはなさそうだ。車内への浸水も見受けられない。
そのままスルスルと川に入水し、真ん中あたりまで進むと、窓から水しぶきが上がるのが見えた。時速は5キロぐらい。
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川の増水で水没してしまった道を通る(写真:筆者撮影)
俺は少し興奮し、「ヒュー」と声をあげた。車酔いしていたインド人と目が合うと、彼は目をまん丸にし、にこりと笑う表情を作った。
不思議なことに直接触ってないにもかかわらず、水の感触を感じる。なんだか気持ちがいい。
1分くらいかかって川を越え、最後はガタガタという音がして、道路とタイヤが緊密に噛み合うのを感じた。車内に安堵の空気が流れる。車のカセットから流れるチベット音楽が心地良い調べを奏でていた。
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スピティ川の上を走る崖沿いの一本道(写真:筆者撮影)
さらに道を進むと、また車が止まった。山肌を降りてきたヤギの群れが立ち去るのを待つためだ。
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放牧されているヤギ(写真:筆者撮影)
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