事件に追われることがない休暇で「自分自身が本当に何をしたいのか」を考えさせられた。
本当に「楽しい」と思ってやっているのだろうか。ニュージーランドの高校を苦労して卒業した「あの頃の想い」を思い出した。
そして出た結論が「転職」だった。
藤田さんは帰国後、上司に退職を伝え、NHKを離れることになる。
「後悔はなかったですね。そのときは不安もありませんでした。ただ、今思うのは記者としての肩書がなくなってみて、『組織に属していることで、いかに自分がスムーズに仕事ができているか』を実感しました。記者もやりたいことでしたが、『次は本当に自分がやりたいことをやろう』って思ってました」
こうしてNHKを退職した藤田さんは、あの中学生時代の想いに回帰した。
「英語を活かせる国際的なところで働きたい」と様々なNGO団体を探し、「ジャパンハート」の求人を見つけ、すぐに応募。
そして今、カンボジアで「ジャパンハート」の活動をWEBでの記事やSNS、動画などで伝える広報として活動している。
「得た充実感」は何物にも代えがたい
「ジャパンハート」はすべてが民間の寄付金などで賄われている組織なので、給与はNHK当時の半分以下。しかも正社員ではなく、1年間の契約社員だ。
だが、カンボジアで流れる時間は、藤田さんに今までにない感覚と感情をもたらしていた。
「今はまだ来て1年も経ってないので良いことばかりが先行しているだけかもしれませんが、本当に楽しいですね。毎日が充実しています。東京では感じていなかったのか、わからなかったのかは定かではないですが……。転職して本当によかったと思います」
カンボジアでの生活はまだ始まったばかり。もちろんこれから苦労することもあるだろう。だが、それ以上に得た「充実感」は何物にも代えがたい。
決してスローライフを求めたわけではない。こういった転職も「人としての生き方」を学ばせてくれるものだ。
*この記事のつづき:NHK元記者が見た「カンボジア医療」超過酷な現実
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