「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【中編】 「心臓に悪すぎる…」「最悪、命は…」驚きの世界

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幅が広い道で車を止め、嘔吐する。赤い目をした黒い顔が青ざめているのがわかった。

狭い一本道の崖スレスレを走る(写真:筆者撮影)

彼の言葉によれば、インド人はあまり車に乗らないため、長距離移動で車酔いする人が多いとのこと。

吐いたことが恥ずかしいのか、言い訳するインド人が少し可愛らしく感じられた。ここまで一年近く旅を続け、揺れる車にも慣れてきた俺は、表面的にはまったくもって平気なように見えただろう。

しかし、その平常心の奥には確実に暗い恐怖が潜んでいる。妙に興奮し、ややハイテンション気味なのは、その恐れを覆い隠すための防御だと自身で理解していた。

標高4000m近く、空気が薄く酸素が少ない

山道は登るだけではない。山を縫うような一本道で進むため、地形に合わせて下ることも多い。

標高が4000m近いので、空気が薄く酸素が少ない。頭がぼーっとしているのだが、それに加え、急勾配の激しい高低差で耳がキーンとなってしまうと、今、自分がマトモなのか、そうじゃないのかがわからなくなってしまう。

山を縫うような一本道(写真:筆者撮影)

標高2000mのマナリでさえ、高山病の症状がでた旅人を見かけた。 幸運だったのは、ダラムサラーやマナリなどの高地で数カ月過ごしていたので、身体が薄い空気に慣れていたことだ。

もし、ニューデリーから直接ここに来ていたら高山病になっていたに違いない。 あのギックリ腰にも意味があったのだ。

ダバと呼ばれる食堂で食事休憩(写真:筆者撮影)
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