そのとき、 脳裏に浮かんだのは、恐怖の夫婦喧嘩の話でも、ガネーシャの誕生秘話でもなく、「世界を破壊する」と脅すパールヴァティーの「気性の激しさ」だ。ヒンドゥー教の最高神のシヴァでさえ、彼女の怒りに脅威を覚えた。
俺は、道を壊した山の神はきっと女性だろうなと思った。
ちなみに、ヒンドゥー教の前身であるバラモン教の聖典「ヴェーダ」には自然崇拝が伝承されている。
全員で車を降り、道の上を流れる川を見に行った。
小石を投げてみたら、水しぶきが小さくそのまま吸い込まれていく。結構深く、流れが速いことがわかった。
ここに来るまでの一本道は、数時間、分岐点らしきものがなかったはず。
おそらく回り道をするルートはない。
「スピティへの旅をあきらめなければならないかも」と思い始めたとき、運転手が「車に乗れ」と指示を出した。そして、ゆっくりとアクセルを踏み、前方に進んで行ったのだ。
最悪、命はなんとかなるだろう…
俺は彼の長年の経験を信じることにした。
せっかく、ここまで来たのだから、先に進んでみたいし、スピティがどんな場所なのかを見てみたい。
車がズルズルと川下に流されても、最悪、命はなんとかなるだろう。
川の増水で水没してしまった道を通る(写真:筆者撮影)
*この記事の前半:「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【前編】
*この記事のつづき:「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【後編】
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