「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【中編】 「心臓に悪すぎる…」「最悪、命は…」驚きの世界

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そのとき、 脳裏に浮かんだのは、恐怖の夫婦喧嘩の話でも、ガネーシャの誕生秘話でもなく、「世界を破壊する」と脅すパールヴァティーの「気性の激しさ」だ。ヒンドゥー教の最高神のシヴァでさえ、彼女の怒りに脅威を覚えた。

シヴァとパールヴァティー夫婦と子供のガネーシャ(Author:Raja Ravi Varma)

俺は、道を壊した山の神はきっと女性だろうなと思った。

ちなみに、ヒンドゥー教の前身であるバラモン教の聖典「ヴェーダ」には自然崇拝が伝承されている。

全員で車を降り、道の上を流れる川を見に行った。

小石を投げてみたら、水しぶきが小さくそのまま吸い込まれていく。結構深く、流れが速いことがわかった。

ここに来るまでの一本道は、数時間、分岐点らしきものがなかったはず。

おそらく回り道をするルートはない。

対向車に出会うとかなりの距離をバックして、2台の車が通れる道まで移動しなければならない(写真:筆者撮影)

「スピティへの旅をあきらめなければならないかも」と思い始めたとき、運転手が「車に乗れ」と指示を出した。そして、ゆっくりとアクセルを踏み、前方に進んで行ったのだ。

最悪、命はなんとかなるだろう…

俺は彼の長年の経験を信じることにした。

せっかく、ここまで来たのだから、先に進んでみたいし、スピティがどんな場所なのかを見てみたい。

車がズルズルと川下に流されても、最悪、命はなんとかなるだろう。

川の増水で水没してしまった道を通る(写真:筆者撮影)

*この記事の前半:「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【前編】

*この記事のつづき:「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【後編】

後藤 隆一郎 作家・TVディレクター

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ごとう りゅういちろう / Ryuichiro Goto

1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーとなり「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「(株)イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「Google政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。

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