問題解決はテクノベート・シンキングで変わる テクノロジーで何ができるようになるのか

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ただ、テクノベート・シンキングでは、テクノロジーの進化に伴い、実現できることのレベルがどんどん上がるがゆえに、それにキャッチアップしなくてはならないという難しさが生じます。たとえばヘルスケアサービスを考えてみましょう。15年前は、人間ドックで測定するような数値をリアルタイムで捕捉することはできませんでした。しかし今ではスマートリングなどの発達により、人体のさまざまな情報をリアルタイムで集めることも可能です。それを用いることで、たとえば「1日の体重増は最大でも200gに抑える。そのための行動をリアルタイムで伝える」ということを「ありたい姿」として設定できるかもしれないのです。

メタバースやブロックチェーンなどの技術などもどんどん進化しています。ITの進化は指数関数的に進むことが多いため、去年にはできなかったことが、来年には可能となるかもしれません。そうした技術の進化にキャッチアップしておくことが、適切な「ありたい姿」を描くためには必要なのです。

テクノベート・シンキングの力を磨く

ここまでの話を読んで、テクノベート・シンキングは、STEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)バックグラウンドの人向けの問題解決方法と思った方もいるかもしれません。しかしそれは大きな誤解です。

ITがどんどん進化する現代においては、何歳の方であろうが、文系の方であろうが、パフォーマンスを出すうえで身に付けておきたいスキルとなってきています。ライバルに差をつけたり、転職力を高めるためにも、テクノベート・シンキングを磨くことは今の時代、あらゆるビジネスパーソンに必須の要件となっているのです。

嶋田 毅 グロービス経営大学院教授、グロービス出版局長

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しまだ つよし / Tsuyoshi Shimada

グロービス経営大学院教員、グロービス出版局長。東京大学理学部卒業、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計160万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」のプロデューサーも務める。著書に『MBA 100の基本』『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』『KPI大全』(以上東洋経済新報社)、『グロービスMBAミドルマネジメント』(ダイヤモンド社)など。経営戦略、テクノベート・ストラテジー、研究プロジェクトなどの講師を務めるほか、各所で講演なども行っている。

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