問題解決はテクノベート・シンキングで変わる テクノロジーで何ができるようになるのか

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テクノベート・シンキングとは、徹底的にIT(機械)の力を活用することにより、人間だけでは実現できなかったソリューションを考案、実施しようという問題解決の方法論です(なお、テクノベートとはグロービスの造語で、テクノロジーとイノベーションを組み合わせたものです)。

例えば、広告入りの動画サイトであと2割視聴時間を伸ばしたいとします。この問題に対し、顧客セグメント(属性など)を分け、追加で視聴しそうな顧客を絞り、キャンペーンを行ったり、彼らに訴求するコンテンツ作りなどを行うというのが従来のアプローチでした。

テクノベート・シンキングの問題解決

それに対してテクノベート・シンキングのアプローチでは、まず「2割視聴時間を増やす」ための、ありたい姿(あるべき姿)を具体的に考えます。たとえば、「全ユーザーに個別のレコメンデーションを行う」などです。

個別の顧客にレコメンデーションを行うというのはリアルの多くのビジネスではなかなか難しいといえるでしょう。ところが、ネットビジネスなどでは、ありとあらゆる顧客の行動データ、いわゆるビッグデータが集まります。そのデータを解析し、顧客にあつらえたレコメンデーションをすれば、実際に2割視聴時間を増やすことは十分に可能なのです。

事実、Eコマースのアマゾンや動画配信サービスのネットフリックスなどでは、ビッグデータとAIを活用して、これを実現しています。誰一人として同じレコメンデーションがなされるということはありません。これは人間には不可能であり、まさにITならではの問題解決なのです。

「ありたい姿」→「データ・アルゴリズム」→「実装」

テクノベート・シンキングでは、まずは先述したようにありたい姿を構想します。その次のステップは「データとアルゴリズムを考える」ことです。データについては、「どのようなデータが必要か(取得できそうか、取得すべきか)を考え、またデータベースの構造をイメージする」ということが求められます。

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