安河内:専門学校から大学に行けるんですか?
松村:はい。提携校がいくつかあって可能だったんです。半年空かないうえに、transfer(編入)なので、専門学校の2年が単位としてカウントされ、いきなり3年生からスタートできるんです。さらに、成績優秀なら4年生への編入もありえると聞いて「うまくすれば1年で大学を卒業できる。これだ!」って。
安河内:それで2年間シンガポールの専門学校に通ったと。肝心の成績は?
松村:よかったです。
安河内:ということは、もしかして……?
松村:はい、イギリスのオックスフォード・ブルックス大学の4年に編入できました。
安河内:オックスフォード・ブルックス? オックスフォード大学とは違うんですか?
松村:イギリスの新設大学の中では、一応、トップと言われていますが、あの有名なオックスフォード大学とはまったく別物です。ほかの大学に行く選択肢もあったんですが、「オックスフォード・ブルックスなら、オックスフォード大と勘違いしてくれる人も多いはず」とよこしまな考えで選びました(笑)。ただ、もともとpolytechnic(総合技術専門学校)だったので、実務経験がある講師が多く、成長中だったIT現場の実例を学べたのは幸運でした。
言葉の一つひとつをはっきりと声に出す
安河内:大学では発表したり、教授とコミュニケーションをとったり、一緒に学ぶ学生を交え議論したりと、話す機会も増えたと思います。何か気をつけていたことは?
松村:適切なボリュームと明瞭度で、言葉の一つひとつをはっきり声に出すことを心がけました。たとえば、鉄則その3でお話した、ニュースを聞きながら行うシャドーイングでも、基本は、聞こえるままにオウム返ししていくだけのところを、あえて、なるべく単語にまで分解したうえで発音してみるんです。音の結合や欠落のたぐいは、「スピードの早いこの話し方では、すべての単語の発音を全部音に出し切るのは絶対無理!」と口が勝手に効率化するもの。「この母音と子音の並びの場合はくっつく」などと、理屈で覚えるものではない。そんな意識を持ってシャドーイングを続け、耳と口の両方を鍛えていました。
安河内:ワンランク上のシャドーイングを実践していたんだ。Practice makes perfect.(習うより慣れろ)を地で行っていた感じですね。まあ、専門家の意見を言わせてもらうなら、発音の連結や欠落は法則があるので、それらを覚ぶことは決して無駄ではない。ただ、法則を理屈として知っていても、実際に繰り返し口にする訓練をしないかぎり自分のものにならないのは、スポーツも音楽も英語もみな同じ。だから、松村さんのように意識を持ってシャドーイングなどの音読練習をすることは、必要不可欠です。それで、肝心の大学のほうは?
松村:よこしまな気持ちで入学したので、せめていちばんをとって出てやろうともくろんでいましたが、かないませんでした。それでも、ほぼオールAのFirst Class Honors(最優等学位)で、1年後に卒業できました。
安河内:じゃあ、卒業は22、23歳ぐらいですね。プー太郎もしていたのに、日本で現役合格した大学生たちに追いついたんだ。それも優秀な成績で。すばらしい!
(構成:山本航、撮影:宮園厚司)
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