スマホ社会の現代日本。
若者たちは黙々と動画やゲームの画面と向かい合い、用事は絵文字を含む超短文メールを素早く打つばかり。
時間を割いて他人と会って話すのは「タイパが悪い」とすら言う彼らと、「生きた」日本語の距離がいま、信じられないくらい離れたものになっています。
言い換えるならそれは、年配者との間の大きなコミュニケーションの溝。
「日本人なのになぜか日本語が通じない」という笑えない状況は、もはや見過ごせませんが、「その日本人同士と思うところが盲点」と、話すのは、言語学者の山口謡司氏。
『じつは伝わっていない日本語大図鑑』と題された一冊には、日本人ならハッとする指摘が満載。
その中から、会話が通じない「落とし穴」になりがちな日本語の興味深い例を紹介してみましょう。
「人に届かない言葉」は、まったくの無意味
「一家心中って、何ですか?」
先日、若い人からそう尋ねられて、「えっ?」となりました。
最初、「なぜ人間はそういう行動に走ってしまうのか」という、倫理的で哲学的な意味を問うているのかと思いました。
が、そうではなく、たまたま流れていたテレビニュースでその言葉を聞き、どういう意味か理解できなかったのだそうです。
コロナ禍において、「不要不急の〜」という言葉を使った注意が当局からさんざん連呼されましたが、「ふようふきゅう」とはどういう意味か、はじめは全然わからなかったと言った人がいました。
「不用品のフリマアプリに関係する言葉かと思った」とも。
その後も何人かの若者が同じようなことを言っていました。
他にも、「外出は控えて、とかの控えてってどうすること?」と言った若者も知っています。
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