スマホ社会の現代日本。
若者たちは黙々と動画やゲームの画面と向かい合い、用事は絵文字を含む超短文メールを素早く打つばかり。
時間を割いて他人と会って話すのは「タイパが悪い」とすら言う彼らと、「生きた」日本語の距離がいま、信じられないくらい離れたものになっています。
言い換えるならそれは、年配者との間の大きなコミュニケーションの溝。
「日本人なのになぜか日本語が通じない」という笑えない状況は、もはや見過ごせませんが、「その日本人同士と思うところが盲点」と、話すのは、言語学者の山口謡司氏。
『じつは伝わっていない日本語大図鑑』と題された一冊には、日本人ならハッとする指摘が満載。
その中から、会話が通じない「落とし穴」になりがちな日本語の興味深い例を紹介してみましょう。
メールに句読点を打たない若者たち
今の若者からスマホで来るメールは、ふつう句読点が打たれておらず、受け取った年配者は違和感を覚えることが多いのではないでしょうか。
言ってみれば、中高年の人々は「ガラケー・メール派」とでも呼べる世代で、メールの文面には、あたかも書類や手紙を書くように「、」や「。」をきちんと打ちながら綴る習慣がついています。
できるだけ短くした中にも自分の意図が正しく伝わるよう工夫して。
一方、現代の若者は「LINEネイティブ」であり、そこでは彼ら独特の書き方を実行してきた経緯があります。
すなわち、句読点を使用しない文です。
じつは、この一見「垂れ流し」とも見える文でも、むやみに「チャン」や「クン」などのカタカナを使わない――など、一定の了解事項が込められていることを、旧い大人たちは、ほとんど気づいてもいません。
なかでも「。」は要注意。
たとえば、若い部下が、休みの希望やその他の業務上のあれやこれやで、「~してもいいですか」と許可を求めてきたようなとき、「了解しました。」と「。」を打ったらどうなるか。
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