スマホ社会の現代日本。
若者たちは黙々と動画やゲームの画面と向かい合い、用事は絵文字を含む超短文メールを素早く打つばかり。
時間を割いて他人と会って話すのは「タイパが悪い」とすら言う彼らと、「生きた」日本語の距離がいま、信じられないくらい離れたものになっています。
言い換えるならそれは、年配者との間の大きなコミュニケーションの溝。
「日本人なのに何故か日本語が通じない」という笑えない状況は、もはや見過ごせませんが、「その日本人同士と思うところが盲点」と、話すのは、言語学者の山口謠司氏。
『じつは伝わっていない日本語大図鑑』と題された一冊には、日本人ならハッとする指摘が満載。
その中から、会話が通じない「落とし穴」になりがちな日本語の興味深い例をご紹介してみましょう。
「もうひとつの意味」が通じない
世代が大きく離れた者同士が、実際に交わしたこんな会話があります。
① 上司(年配者)と部下(若者)の会話
上司「出張お疲れ様。一日延びたから足が出たんじゃないか」
部下「はい。急遽取った宿の布団が小さく、足先が出てよく眠れませんでした」
② 大至急の原稿仕事をこなしたライター(年上)が、廉価の支払書を若い編集者に渡されたときの会話
ライター「あのう、もう少し色をつけていただけるとうれしいのですが」
編集者「白い紙ではだめですか」
何ともおかしなチグハグさが生じているのが、わかりますか?
① の「足が出る」は、「予算をオーバーする」という意味。
② の「色をつける」は、「金額を上乗せするなどして相手に感謝や誠意を示す」という意味。
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