スーパーホテル、あまりに非常識だった「3大改革」 デジタル化で時間捻出し、プラスαのサービスを

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その傍らで、科学的なサービスの検証も進めている。京都大学と共同で、サービス優秀者と標準者の行動や視線の違いを観察・分析。教育ツールを開発している。

人間による判断と科学的教育。その両方が結集した接客の姿勢が高く評価され、スーパーホテルは「J.D. パワー ホテル宿泊客満足度調査(エコノミーホテル部門)」で9年連続No.1を受賞している。

加えて、スーパーホテルは現在国内外に171軒あるが、うち4軒以外は「ベンチャー支配人制度」(「Super Dream Project」)という制度を利用し、将来起業したい人が支配人を務めている。これが3つめの「非常識な改革」だ。なにが非常識なのかと言えば、彼らは雇用ではなく業務委託。そのほかのスタッフも全員アルバイトで、半分は学生。すなわち、社員がゼロなのである。

しかも、昼夜を問わないホテルという環境のため、基本は二人一組での中途募集。そのため応募者は、「将来カフェや飲食店を起業したい夫婦やパートナー」が多く、たいていがホテル未経験者だという。

ベンチャー支配人を務めるパートナー(写真:スーパーホテル提供)

「将来の夢を持っているか」が採用基準

働く側は、この「ベンチャー支配人制度」を利用することで、将来起業するための資金とスキルを貯蓄できる。なぜなら、契約期間内は住み込みでホテルを運営するため、家賃、光熱費が不要。運営、経営のノウハウに加え、マネジメントスキルもしっかり身につけられるからだ。

報酬も、客室数に応じて固定報酬があるのに加え、営業成績、顧客満足度の高さといった指標でインセンティブもつく。起業希望者にとってはかなり魅力的な条件だが、なぜこのような採用方式をとっているのか。

「起業したい方の多くが夢を持っているからです。弊社の採用では、『将来の夢を持っているかどうか』を最重視しています。なぜなら、夢を持っている人は自分で考える力、行動する力が高いからです」(星山氏)

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