スーパーホテル、あまりに非常識だった「3大改革」 デジタル化で時間捻出し、プラスαのサービスを

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ただし、その目的はコストカットではない。一番の目的は、ITの導入で生産性を上げ、スタッフがゲストのおもてなしにかける時間を増やすことだ。ひいては、顧客満足度を上げることにある。誰にでもできる「処理」や「作業」にかける時間は減らし、挨拶や見送り、顧客ニーズに沿った対応など、接客に時間を割ける環境を目指したのだ。

「私達はいつも『アナログのおもてなしのためにデジタル化しよう』と言っています。自動精算なら、スタッフはお客様の様子を余裕を持って見て、例えば雨が降りそうなら、『傘をお持ちですか?』とお声がけできます。プラスαのサービスができるのです。そこがスーパーホテルの一番の強みであり、最も力を入れているところです」(星山氏)

デジタル化で空いた時間をアナログのおもてなしに(写真:スーパーホテル提供)

マニュアルなしで自律したサービスを促す

そうして接客時間を作る一方で、サービスマニュアルは設けていない。決まっているのは、「サービススタンダード」という7項目のみ。内容は、清潔感のある身だしなみや、「ホテルを第二の我が家だと思ってもらえるよう、『いらっしゃいませ』ではなく『おかえりなさいませ』と挨拶する」「お客様をお名前で呼んで、ニーズを先読みする」といった基本事項だ。

それ以外は、「お客様に日常の感動を届けよう」をスローガンに、「自分のことをわかってくれている」「自分のためになにかやってくれている」と感じてもらえる気遣いを心がけていこう、と日々伝えているという。つまり、個々の判断に委ねる部分が大きいということだろう。

「私達のお客様は7割がリピーターです。リピーターが求めるサービスは、人によって違います。加えて、夜遅い時間なのか、荷物をたくさん抱えているのか、ロケーションによっても異なります。ですからその時々に、実際に接しているスタッフ自身が考えることが重要なのです。弊社ではこの姿勢を『自律型感動人間』と呼んでいます」と星山氏。

サービスの姿勢は、スタッフ自身に委ねられているところが大きい(写真:スーパーホテル提供)
次ページ3つ目は「ベンチャー支配人制度」
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