チェックアウトをなくすために、鍵もなくした。ドアノブにテンキーをつけて暗証番号キーにしたのだ。これは当時、マンションの玄関では、すでに当たり前に使われていた技術だった。
鍵なし、電話なし。そして、当時は珍しかった自動精算機の導入。この3つの工夫でチェックアウトを人が行わず、スムーズな自動精算が可能となったのだ。
同スタイルは当時、ビジネスモデル特許を取得していたという。ただし周囲からは「非常識極まりない」と言われたり、「ただの効率化、人件費の削減じゃないか」という見方もあったそうだ。
だが、ゲストから見ればどうか? 当然、待たされるよりも、早く出られたほうがいいに決まっている。本当のホスピタリティとはなんなのか。それを追求した結果が、ノーテレフォン、ノーキー、ノーチェックアウトだった。
今は時代が追いつき、ビジネスホテルは自動精算が当たり前になっている。スーパーホテルではチェックインについても、予約時に発行したQRコードによる「スマートチェックイン」が行われており、顔認証によるチェックインも考案中だという。
手厚いおもてなしのために、デジタル化を推進
2つめの「非常識な改革」は、顧客情報の一元管理だ。スーパーホテルチェーンでは2008年頃から、顧客情報をオンラインで共有している。だがこれも、当時はまだ一部のラグジュアリーホテルでしか導入されていなかった。
前編で登場した「どの枕を使うか」といった嗜好に関する情報をはじめ、「領収書の名義は、会社名か個人名か」といった細部までを共有しているため、何も言わずとも全チェーンで同じサービスが受けられるのがポイントだ。ゲストは説明する手間が省け、ホテルからしても、サービスに要する時間が省ける。
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