生活に不安で「文学の研究を断念」揺れる院生の心 就職できるポストも少なく、道のりは険しい

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大学院で文学を研究をするのは、就職やその先の進学を考えると確かに厳しい面がある。

それでも山口さんは「大学院で研究してよかった」と感じている。

文系・院・進学はやめたほうがいいのか?

「社会の中にはいろいろな人たちがいて、技術的に発展していくことで生活をよくしていこうと考える人は多いと思います。でも、それだけではなくて、自分の心の中をどうすればよくすることができるのか、どういう心持ちであればよい生活を送ることができるのか、といったことを考えることも大事です。

私自身は文学を研究し、教授や先輩、後輩とディスカッションする中で、自分の考え方が定まってきました。先日研究発表をした際にも苦戦はしましたけど、自分は大事な研究をしていると改めて感じました。人生は長いので、そういうことを考えたうえで社会に出られるのはよかったと思っています。

インターネットで『文系 院 進学』と検索すると、だいたい『やめたほうがいい』という言葉が出てきます。就職を考えれば厳しいのは事実なので、無責任なことは言えません。それでも、研究をしたいと思って、文系の大学院への進学を検討している人がいれば、私は『おいでよ』と言いたいですね」

田中 圭太郎 ジャーナリスト・ライター

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たなか けいたろう / Keitaro Tanaka

1973年生まれ。1997年、早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年からフリーランスとして独立。雑誌やWebメディアで大学、教育、経済、パラスポーツ、大相撲など幅広いテーマで執筆。著書『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)、『ルポ 大学崩壊』(筑摩書房)。

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