生活に不安で「文学の研究を断念」揺れる院生の心 就職できるポストも少なく、道のりは険しい

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文部科学省は2023年度の学校基本調査の確定値を、2023年12月20日に公表した。大学の学部卒業生の進路では、大学院などへの進学を選んだ人の割合は12.5%で、前年度よりも0.1ポイント上昇した。大学院研究科に進学した人数も前年度よりも989人増加し、6万5998人となった。

学科別に見ると、理学や工学、農業など、理系の学科はすべて進学者が前年度より増えている。工学系は393人増えて3万3792人。それに対して、減っていたのは11人の微減だった芸術系と、人文科学系だった。人文科学系は前年よりも118人少ない3442人で、人文科学系離れだけが目立った。

10年前の2013年度の調査結果と比べてみても、理系はすべて進学者が増えているのに対し、文系である人文科学系は566人減少している。長期的に見ても、人文科学系への進学者は減り続けているのだ。

大学院で国文学専攻の同級生はいない

山口さんによると、大学院で国文学専攻をしている同級生はいない。山口さんは高校時代にオープンキャンパスで講義を受講し、担当していた教授に学びたいと考えて進学した。ただ、後輩らと話す中で、みんな必ずしも学びたいことがあって入学したわけでもないと感じている。

「できるだけいい会社に就職したいから進学したと話す学生もいれば、違う大学に行きたかったけれども、合格しなかったのでこの大学に入ったという学生もいます。多くの人が就職先や大学名を考えて進学している感じですね。

就職先や大学名はもちろん大事だと思います。その一方で、私自身は大学で学びたいことを考えて、進学先を決めるのがいいのではないかなと思っています。大学での学びや、大学院での専門的な研究を通して、自分のアイデンティティや支えになるものを見つけることで、結果的に充実した時間を過ごすことができます」

山口さんは博士前期課程を卒業後、大学生協への就職が決まっている。学生や教授を支える仕事をしたいと思った理由から志望した。

一方で、博士後期課程への進学や、大学院での学びを直接的に生かせる仕事に進みたいという思いもあったが、「非常に険しい道」だと感じて断念していた。

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