バーガーキングは、さまざまな企業によって運営されてきたブランドだ。1993年から2001年までは西武商事やJTが運営、うまくいかずに一度は日本撤退。2007年に再上陸すると、そこから2019年まではロッテ・韓国ロッテリアが運営したが、なかなかうまくいかずに、香港の投資ファンドに売却された。現在は、その投資ファンドが設立したビーケージャパンホールディングスが運営している。そんな歴史を考えると、ついに利益が出るようになった現状は、なかなか感慨深いものがある。
バーガーキング続伸の理由
さきほどコロナ禍での私の経験を述べた通り、バーガーキングはデリバリーが可能なファストフードであり、さらに黙食が可能な業態だった。この強みがあり、同社に追い風を吹かせた。
さらに、私が注目したのは、私が爆笑してしまった同社の取り組みがあったためだ。というのは2020年に同社が「BK TOWN ROOM」を開始した。なぜ私が笑ったかと言うと、なんとこのキャンペーンは消費者の近くに店舗をオープンするのではなく、消費者がバーガーキングの店舗の近くに引っ越そう、というものだったのである。
<お客様より「店舗が近くに無い」の声や「近くにお店を作って欲しい」などの新規出店のご要望を多くいただいており、バーガーキング®ではお客様の声やご要望にすぐにお応えできないことに日々心を痛めておりました。
上記のお客様の声やご要望について社内で会議を重ねた結果、お客様にバーガーキング® のお店の近くに引っ越していただくことで解決できないだろうか、と考えバーガーキング® 店舗の近隣のお部屋探しができる物件情報サイト「BK TOWN ROOM」をスタートすることにいたしました。>
もちろん私も野暮ではないので、これが冗談だとわかっている。ただ、それでもなお、笑って、そこまで人気なら、と店舗の訴求性をあげるのに成功している。
そして次に同社は大胆不敵なPRを行った。X(旧Twitter)でなんと「店舗を増やしたいのですが、物件探しに困っています。バーガーキングにぴったりの空き物件をぜひ紹介してください。実際に成約した場合には10万円差し上げます!」と投稿した。
可能ならこの投稿を読んでほしいが、返信は愛のあるコメントであふれている。もちろん例外はある。ただし、同社の熱烈なファンと店舗を作ろうとしている。
同社がどれだけ狙ったかは知らないが、ファンベースを強固なものとし、一緒に店舗を設立すればストーリーにもなるだろう。
また、これまた、どれほど同社が狙ったかは知らないが、この反応を分析することによって熱く希望する地域と、そうではない地域の差分も把握できるだろう。マスも重要だが、現時点で熱烈なファンを囲い込むことは常に正しい。
バーガーキングの再生は、コロナ禍をキッカケにしているものの、ファンベースとSNS戦略のあざやかな成功を示している。
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