辞めさせたくない「上位2割」社員の話を聞く技術 部下と理解しあうよりも重要なこと 

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まずは、先の「4つのテクニック」を試してみましょう。形から入り、継続していければ、マインドはあとからついてくるものです。

次に、「4つのテクニック」を使った会話例を紹介しましょう。

「上位2割」が燃え尽きてしまう前に

ケース②
上司:「〇〇さん、あの資料、できた? もう提出期限が過ぎてるんだよね」
部下:「すみません。まだなんです」
上司:「どうして出せないの? みんな出してるよ」
部下:「私って自分が納得しないと提出したくない人なんです。だって、納得できないものを出したって意味がないじゃないですか」
上司:「でも、それってわがままじゃない? ほかの人はみんな提出期限を守ってるんだからさぁ」
ケース②の改善例

上司:「〇〇さん、あの資料、できた? もう提出期限が過ぎてるんだよね」
部下:「すみません。まだなんです」
上司:「まだなのか……それで、〇〇さんは、どうしたいの?」
部下:「あの、自分が納得した段階で提出したいなと思っていまして……あと2時間いただけませんか?」
上司:「そうか、わかった。延期した分、いいものができると期待しているよ。〇〇さんならできると思うよ」

「上位2割」が燃え尽きてしまう会社には、将来も成長もありません。そうならないために、上司の立場にいる人ができること。それは、上位2割の社員の話を聞き、気持ちを受け止めること。その上で、信頼と期待の言葉かけをすることです。

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諸富 祥彦 心理カウンセラー
もろとみ よしひこ / Yoshihiko Morotomi

1963年福岡県生まれ。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。イギリス・イーストアングリア大学、アメリカ・トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授(11年)を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。時代の精神(ニヒリズム)と「格闘する思想家・心理療法家」(心理カウンセラー)。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会理事、日本産業カウンセリング学会理事、日本生徒指導学会理事。教師を支える会代表、現場教師の作戦参謀。臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラーなどの資格を持つ。

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